今回は、生産本部 工事管理部に所属する山崎氏にインタビュー。これまで設計としてキャリアを歩んできた彼女が、施工管理としてAGBの現場に立つ理由。そして、華やかなデザインの裏にある「泥臭い」プロセスと、現場だからこそ得られる技術的な成長について語ってもらった。
設計の視点を武器に、現場を指揮する。大型物件への憧れからAGBへ
現在の工事管理部での仕事内容と、ご自身の専門性が活きている場面を教えてください。
山崎:工事管理部、いわゆる「施工管理職」として、現場の最前線に立っています。施工が始まる前の段階では、施工方法の検討や、現場で使用する金物・部材の発注を行います。そして実際に施工が始まってからは、計画した工程通りに進んでいるか、製品が図面通りに誤差なく納まっているかを細かく確認し、現場全体をマネジメントしていくのが主な役割です。
現場では、多種多様な部材を扱い、様々な業者の方々が同時並行で作業を進めていきます。その際、「この作業が並行して進んでも、干渉せずに問題なく施工できるか」を判断する上で、前職で行っていた「設計」の経験が活きていると感じます。図面から完成形を立体的にイメージし、現場全体を俯瞰して把握できることは、私の専門性としての大きな強みになっています。
学生時代から設計や意匠を学ばれていたとのことですが、なぜファサードエンジニアリングという専門分野、そしてAGBを選んだのでしょうか?
山崎:学生の頃から、建築の中でも最も人の目につきやすい「外装」という部分に強く惹かれていました。
AGBを選んだ最大の理由は、ゼネコンに入社したとしても若手のうちはなかなか携わることが難しいような「大型物件」に、ファサードエンジニアリングという専門的な立場から深く関われる点です。戸建て住宅も魅力的ですが、私はマンションや商業施設のような、街の景色を創るダイナミックな大型物件を手掛けてみたいという思いがありました。

パズルのように分単位で工程を組む。遅れを取り戻した「突破の経験」
入社されて半年ほどですが、これまでに最もワクワクしたプロジェクトや、印象に残っているエピソードはありますか?
山崎:入社してすぐに担当した名古屋の物件ですね。私が現場に入った時点で、工程がだいぶ遅れていました。しかし、お客様と約束した工期は絶対に守らなければなりません。その遅れた工程を、いかに日々の施工の中で取り戻し、スケジュールを詰められるかが最大のミッションでした。
現場では、当社のGRC(ガラス繊維強化コンクリート)の施工と同時に、他業者によるガラス施工なども並行して行われます。限られたスペースと時間の中で、まるでパズルを組み立てるように「次はここをやって、その間にこれをやって」と、分単位で緻密に工程を組み直しました。1日も作業を止めず、無駄な待機時間が出ないように職人のみなさんと連携し、調整を重ねた結果、スムーズに取り付けが進んだ時は本当に楽しかったです。
最終的には、遅れを取り戻すどころか「1週間」も工期を短縮することができ、お客様からも大変感謝していただきました。技術者として、かなり頑張れたという手応えと達成感がありましたね。
入社直後から、裁量を持って現場を任されているのですね。職人のみなさんとのコミュニケーションに不安はありませんでしたか?
山崎:実は、入社して1ヶ月でその名古屋の現場に配属され、気づいたら私1人で現場を担当していました(笑)。最初は驚きましたが、ついてくれている上司が電話などで相談すればすぐに的確なアドバイスをくれると分かっていたので、安心感はありました。
学生の皆さんは、現場の職人の方々に対して「怖い人」というイメージを持っているかもしれませんが、AGBの現場で一緒に働く職人のみなさんは、皆さんびっくりするくらい優しい方ばかりです。名古屋の物件でも、以前別の現場でお会いして関係性ができていた職人の方が多く、非常にスムーズに連携を取ることができました。もちろん、他業者やゼネコンにお願いごとをする場面もあるので、摩擦が起きないよう事前に関係を築いておくコミュニケーション能力は大切ですね。

夜な夜な行う「数ミリ」の調整。デザインの理想を現実にする泥臭さ
AGBの施工実績はデザイン性の高い建物が多いですが、見た目の華やかさを支える「技術の本質」は何だと思いますか?
山崎:とにかく「こだわるところ」に尽きると思います。例えば、銀座のブランドショップのような案件では、目地(部材の継ぎ目)や段差に対して「数ミリ単位」でのシビアな調整が求められます。
お客様から「ここの段差が少し気になる」と指摘があれば、夜な夜なミリ単位の微調整を行うこともあります。設計者も、その美しいデザインを実現するために、見えない部分の留め方などを工夫して図面を描いてくれます。しかし、現場の躯体(建物の骨組み)には必ずわずかな誤差があります。施工する私たちが、その現場のリアルな誤差を吸収し、どこまで教科書通りの「フラットで美しい状態」に近づけられるか。現場で調整を重ね、汗を流す泥臭いプロセスこそが、デザインを実現するために不可欠な技術の本質だと感じています。
設計から施工管理へとキャリアを移したことで、考え方に変化はありましたか?
山崎:私は元々現場に出たいタイプだったので、施工管理の仕事には非常にやりがいを感じています。設計をしていた頃は、実際に現場で使う道具のサイズ感や、作業スペースの確保といった「現場の物理的な制約」が分からず、図面通りに施工しようとすると「工具が入らない」といった問題が起きることもありました。
今は、実際に現場で物に触れ、職人のみなさんの動きを見ているからこそ、「この設計ならこういう手順で施工できる」とリアルに判断できます。設計と施工、両方の視点を持てるようになったことは、技術者として大きな成長だと思います。
営業段階から施工に相談が来る。知識が集結する「技術集団」の強み
「技術集団」としてのチームワークを感じるのは、どのような時ですか?
山崎:AGBでは、営業担当者がまだ契約に至っていない初期段階から、「このデザインや施工方法は現実的か」と、設計や私たち施工管理に相談を持ちかけてきます。
入社して1年も経っていない私にも、営業や設計から「現場の目線でどう思うか」と相談される環境があります。部署の垣根を越えて、どんなことでも聞き合い、少しの疑問や技術的な課題も逃さずに解決していく。まさに全社が一丸となった技術集団だと感じます。
海外のデザイナーが描いた斬新なデザインを施工する場合も、日本の気候や「地震」への対応という基準に照らし合わせ、そのままでは難しい場合は「日本で施工するのであれば、こういった素材や納まりにすべきだ」と、技術的根拠を持って提案・調整を行っていきます。
職場の雰囲気や、働きやすさについてはいかがですか?
山崎:人間関係は非常に良好で、とても働きやすいです。施工のことで悩んだら、すぐに上司や先輩に相談できる心強い環境です。AGBは「自分の分からない分野があっても、社内には必ずそれを知っている誰かがいる」という絶対的な安心感があります。
施工管理は時間が不規則になりがちですが、フレックスタイム制が導入されているため、自分で調整しながら働けています。帰れる時は早く帰って趣味の時間を作れますし、現場の都合で土曜日に出勤した場合は、別の平日に休みを取るなど、プライベートの時間はしっかり確保できています。
好きなことへの「追求」は、いつか必ず武器になる
最後に、これから就職活動を行う「技術を追求したい」学生へメッセージをお願いします。
山崎:建築の中でも、それ以外のことでも何でも良いのですが、「自分の好きなことをとことん追求する」という姿勢を大切にしてほしいです。
例えば、私はお寺などの日本の伝統建築が好きなのですが、直接社寺建築に関わっていなくても、歌舞伎座のような伝統的な意匠を現代の技術で表現するプロジェクトなど、その知識を活かせるチャンスは必ずあります。「木材のように見せて、より長く残すためにこの材質を使おう」といった提案は、伝統建築の知識があるからこそ生まれます。
好きなことを追求していれば、たとえそれが一見関係ないような仕事に就いたとしても、どこかで必ず自分だけの武器として役立てられる時が来ます。気になったこと、好きなことを諦めずに追求し続ける。そんな情熱を持った方と、AGBの現場で一緒に働ける日を楽しみにしています。